その宝は会社を変える

ボクは大学を卒業して就職したばかりの新卒社員「卒田 新」だ。
人気商品「ブラックドリンク」を販売する憧れの会社「Oicy Drinco」に希望を持って入社したけど、想像以上に厳しい生活が待っていた。
毎朝6時に始まる謎の3時間筋トレ。
3メートルも積みあがった書類の束。
土日が書き換えられているカレンダー。
日報にエスペラント語でアドバイスを書き込む先輩。
昼休みにデスクで焼き肉を始める上司。
デスクが推しのアイドル写真で埋もれている同僚。
そして、オフィスで虎を飼う社長……。
そんな中で、ボクは今日も必死に働いている。
ある日のことだった。
先日突如失踪した先輩からメールが送られてきた。
『HEY YOU! 元気かYO? 俺様は辞めて気ままなフリーダム! 社内の環境改善に努めていた俺様が、なぜか突然のKU・BI宣言! MA・JI呆然! 何の因果? どんな進化? 誰が鎮火? だけど、俺様に未練はゼロ! 悪いがデスクに残った私物の処理をお前に任せたZE!』
どうやら、先輩はボクに後処理を丸投げしてきたようだ。
『今となってはこんなひどい会社だけど、昔はこんなんじゃなかった。社長が昔のように戻ってくれればな……』
というのが先輩の口癖だった。
そういえば辞める間際には、
『無理して働きすぎると妖精が見えて、願いを叶える宝に導いてくれる』
とかなんとか言っていたっけ。
先輩は、疲れすぎておかしくなってしまったのだろうか、それとも本当に妖精を見つけたのだろうか……?
ボクは、重い腰を上げて先輩のデスクを片づけることにした。
それが、ボクの今後の人生を大きく変えてしまうことになるとは知らずに……。
※この物語はフィクションです。