高野山、それは天空の聖地。
天空に広がるように存在し、そこには数多の寺院が並ぶ。
新米の学芸員として日本の宗教の歴史・文化財を研究する歴史マニアの高野藍は、
研究の一環としてその聖地を訪れていた。
「謎や噂が多い高野山に一度来てみたいとは思っていたけど、こんなにたくさんの
寺院が並んでいるなんて。一日で回りきれるかしら……さすがに疲れてきたから、
木の下で少し休憩でもしよう……ってあれ?枝になにか引っかかっている……?」
藍が見つけたものは一冊の手稿だった。ところどころ汚れて読み取りづらいが、
『夢の記』と書かれているようだ。
「これはかなり古そうな手稿ね。どうして木の枝なんかに……?それに夢を記した
ものってどういうことかしら、一体誰がこんな手稿を……」
次々と疑問が湧き上がる中、おもむろに手稿を裏返してみると、鮮明な
筆致で書かれている興味深い文言を見つけた。
『ひほう ここにねむる』
「この高野山に秘められた宝ですって!?そんなものが見つかったら、確実に世紀の
大発見になるわ。だけど……夢で見つけたっていうのはどういうこと……?この手稿の
謎を読み解いていけば分かるのかしら……」
そう感じた藍は、いても立ってもいられなくなっていた。
こうして、一冊の手稿を巡るちょっと不思議な物語が幕を開けたのであった――。
※このストーリーはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。