物語
とある日の明治新聞社。
敏腕記者、金之助と編集長の春子が
紙面の割付について思案に暮れていたその時。
荒筋だけの原稿を小脇に携えて男性の手を引き、
探偵小説作家志望の少年、太郎が駆け込んできた。
「春子さん!金之助さん!ヤツが!」
太郎に手を引かれて立っていた、
ぬぼっとして何処か垢ぬけない様をした男性が叫んだ。
「わたしは十二面相に脅迫されているのです...!」
―――あの忌まわしき予告状から
奇怪な事件の幕が上がる。