ストーリー
「クソ、またダメだ !」......
ファッションデザインコンクール、落選の字。
夜通し描いた服のデザイン案を、ごみ箱に放り投げた。
俺の父親は、歌舞伎の衣裳製作の仕事をしている。
父親の影響で幼い頃の俺は歌舞伎をはじめ色んな舞台を見ていたが、
歌舞伎や舞台の衣裳に強い興味を惹かれることはなかった。
しかしある日、俺はふとテレビで見たファッションショーの特集がきっかけで
時代を象徴するような先鋭的なファッションに興味をもつようになった。
そしていつからかオリジナルの服を作りたいと夢を抱くようになった俺は
ファッションデザイナーを目指そうと決意した。
高校、大学とファッション系に進み、服飾のデザインに打ち込む日々。
しかし、作っても作っても自分の思い描く服が出来ず、
焦りと不安が心を埋め尽くしていた。
そんなある日、俺は大学の友人から、歌舞伎や歌舞伎座周辺の土地について
楽しく学べる謎解きイベントがあると聞かされる。
謎解き自体嫌いではなかった俺は興味津々でチラシを手に取ったが、
その中には父親の名前が制作者として記載されていた。
驚いた俺は思わず断ろうしたが、結局押しの強い友人に誘われ、
謎解きイベントに参加することになってしまった。
このイベントが人生に大きな変化をもたらすことになるとは、
この時の俺はまだ知る由もなかったのだった__。