ストーリー
『落し物はコチラへ』
一見なんの変哲もないその案内の先に待っていたのは、想像をこえる世界でした。
最近のホテルニューオータニには、ふしぎなウワサが流れていました。それは、泊まった人々がついつい落し物をしていってしまう、というものです。最近になって急増し始めたようですが、原因は明らかになっていないんだとか。
——それより、わたしには気になることがありました。ホテル内に、ホテルマンの姿がないのです。
このままではチェックインできない……そう思い始めた頃、『落し物はコチラへ』という案内看板とともに、受付に立つホテルマンを見つけました。
「すみません、チェックインってこちらでできますか?」その男性はにこやかに答えてくれました。「もちろんです、チェックインからチェックアウトまですべて担当させていただきます。当ホテルへようこそお越しくださいました」